◆インビザラインで使うiTeroは、そもそもどんなもの?
現在多くのメーカーから口腔内スキャナーが提供されています。インビザラインで使用するのはiTeroという口腔内スキャナーです。日本国内ではiTeroだけがインビザラインの認定接続が可能です。
正式名称はiTeroスキャンニングシステム(アメリカのアライン・テクノロジー社が開発)で、口腔内に専用の3Dスキャナー(カメラみたいなものです)を入れ、歯列矯正を行う歯の状態を直接撮影して、精密な歯型のデータをとることができる光学スキャンニングシステムです。
◆iTeroの特徴
iTeroは今までの歯型取りの常識を覆す、画期的な技術です。その特徴をご紹介します。
1.歯をスキャンした後、3Dのデータで見れる
iTeroで歯をスキャンした直後に実際の歯の様子を3Dのデータで確認することができます。
実際に歯並びや噛み合わせがどうなっているのかをモニター画面で見ることで、ご自身がどのような不正咬合で、治療する理由や目的がはっきりとわかります。
2.歯並びのシミュレーションを3Dアニメーションで確認できる
iTeroで歯をスキャンしてデータを読み取った後は、現在の歯並びから治療後のきれいな歯並びに変わるまでの様子を3Dアニメーションで見ることができます。
ご自身の歯がダイナミックに動いてきれいな歯列になっていく様子を見ることで、治療計画の内容がより具体的にわかります。
3.印象剤での歯型採取が不要
従来の歯型取りは、専用トレイに盛った印象剤を口に入れ、歯に押し当てて印象剤が固まるまで数分間待ってから取り外すというものでした。印象剤が硬化するまでの間、患者さんは口を開けたままの状態でいなければならないため、嘔吐反射がある方、口を開けにくい方にとっては苦痛でした。
iTeroは3D光学スキャナを照射するだけで精度の高い歯型データを記録できますので、矯正歯科治療での歯型取りの仕方が劇的に変わりました。
4.精密で正確な型どりができる
従来の印象材を使っての型取りは、印象材が変形したり、石膏を硬化させる際に変形したり、石膏に気泡が入ったり、歯型を正確に作るためにはコツが要りました。iTeroはスキャンしたデータがそのまま歯型となります。そのため矯正治療に必要な情報をデータから全て得ることが出来、精密に歯の形を再現することができます。
インビザラインではマウスピースを交換しながら歯を動かしていきますが、このマウスピース製作にあたり、iTeroで撮影されたデジタルデータを三次元ソフトに読み込ませてシミュレーションします。そのため、歯型の情報を正確にデータ化する必要があります。
5.歯並びのシミュレーションをスマホで確認できる
歯型データをもとにクリンチェックという治療計画を作成します。患者さんはウェブサイトにログインすることでそのデータをスマホからいつでも見れるようになります。
6.クリンチェックで最適な治療計画をご提案
患者さんの現在の歯並びから理想的な歯並びになるまでの道筋を、クリンチェックの画面で歯を動かしながらシミュレーションし、何通りもの案の中から最適なものを選びます。
歯を効果的に動かすために取り付けるアタッチメントの形や厚み、位置が細かく設定できるようにクリンチェックが改良され、歯を移動させる距離や歯軸の傾き、噛み合わせ等をシミュレーションできますので、より具体的にドクターの希望に沿った治療計画が実現できるようになりました。
7.歯型データを送るだけなのですぐにアライナーを作製できる
従来の印象の場合は歯型をアライン・テクノロジー社へ輸送し、そこからコスタリカへ輸送する手間がありました。
コスタリカで工業用CTにスキャンし、インビザラインのクリンチェック作製まで約2週間かかっていました。そのため患者様の手元にアライナーが到着するのは約4週間~6週間と、かなり先になってしまっていました。
ところが、iTeroではスキャンした口腔内データを直接コスタリカへデータを送信しますので、輸送にかかる日数が短縮されます。
また、シミュレーション(クリンチェック作成)も従来の印象に比べ、採得の3日以内に医師の手元に届くため、製作も早く、患者様の手元にアライナーが提供されるまで3週間~4週間となります。患者さんは矯正を一刻も早く始められたい方が殆どですので、アライナーが早くお手元に届くことは大きなメリットとなります。
8.CTなどで被ばくをするがiTeroでは心配なし
CTなど医療器具においてわずかな被ばくをするのは、皆様周知の事実かと思います。iTeroから放出される光は、CTやレントゲンのような放射線ではありませんので、安全で体には害がありません。
勿論、スキャンの器具の先端部は使用の度に交換しますので、衛生面でも安心です。