インビザライン矯正に用いるアライナー(マウスピース)は、患者さんそれぞれの歯列に適した形状に設計、製作されています。ですからアライナーを“装着できない“ということはまずありません。しかし装着の方法や治療経過によっては、アライナーが浮くことがあります。
インビザラインが浮く原因とは
原因1:完全にフィットする形には作られていない
インビザラインのアライナーは、乱れた歯並びを少しずつ移動するために装着するものです。矯正力を働かせる前提で設計されているため、あえて歯列にぴったり合わせていない部分があります。つまり、ぴったり合わせていない部分があるために、適切な方法でしっかりと装着しないと“浮く”という現象が起こります。
これに比べ、歯を外力から守るために装着する装置や、矯正治療後に装着する戻り止めの装置(リテーナー)は、歯列と全く同じ形のマウスピースとなっていて、これらは装着しても歯は移動しません。
原因2:治療経過に乱れが生じている
インビザラインは、アライナーを毎日20時間以上装着しなければ計画通りに歯を移動できません。治療経過の乱れ(実際の歯の移動と、想定された歯の移動のズレ)が生じれば、次のアライナーに交換しても、しっかり装着することができなくなります。その結果、インビザラインのアライナーが浮くことがあります。
原因3:アライナーの番号を間違えている
インビザラインのアライナーには、ステージごとに番号がふられています。当然ではありますが、順番通りにアライナーを交換していかないと、歯列に装着することは困難となります。
インビザラインが浮く場合は、アライナーの番号を一度確認してみましょう。
原因4:アライナーの形状に問題がある
アライナーの形状に初めから不具合があったり、取り扱いを誤って変形させてしまったりすると、インビザラインが浮く原因となります。
なお、今まで入っていたアライナーが突然入らなくなった場合は、ほぼこの変形が原因です。
前後の番号のアライナーと比較して、形状に異常がないか確認しましょう。
原因5:アライナーチューイーの使用が不十分
インビザラインのアライナーをしっかりと装着するためには、アライナーチューイーと呼ばれるシリコン素材の補助器具を用いる必要があります。この器具の使用が不十分だと、アライナーが歯列の奥までしっかり入り込まず、浮いてしまうことがあります。
インビザラインで前歯部分が浮く原因
インビザラインの装着時に、前歯部分が浮くケースでは、アタッチメントを付けることで改善できることが多いです。前歯の部分が“実際に浮いている”のか、“浮いているように感じる”だけなのかによっても対処が異なりますので、一度担当医に相談しましょう。
インビザラインで奥歯部分が浮く原因
インビザラインで奥歯の部分が浮いている場合は、アライナーや治療経過に不具合が生じている可能性も考えられます。そのまま使用を継続するのではなく、担当医に相談しましょう。
インビザラインで1歯分だけ浮く原因
インビザラインで1歯分だけが“浮いている”のであれば、その歯とアライナー該当部分に不調和が生じているかもしれません。これは特に前から2本目3本目あたりの歯に起こることがあります。
インビザラインで根元が浮く(広がる)原因
インビザラインで歯の根元が浮く原因は、様々です。アライナーが根元まで入り込んでいないので、上述した5つの原因を検討してみましょう。
インビザラインで一部が浮く感じのする原因
インビザラインで前歯部や臼歯部など、歯列内の一部が浮く感じがする場合も複数の原因が考えられます。アライナーの装着時間、交換時期、変形、アライナーチューイー使用法など、心当たりのある点を改めて確認しましょう。