親知らずは必ず抜歯したほうがいいの?
矯正治療とは別に考えた場合、親知らずは必ずしも抜歯しなければいないわけではありません。例えば、しっかりと真っ直ぐ生えていて、上下の親知らずが噛み合って機能している場合は抜歯する必要はありません。
しかし、親知らずは生えてくるスペースが足りないなどの理由で、斜めに生えてきたり、半分だけ生えてくる場合があり、汚れが溜まりやすいトラブルを起こしがちです。炎症を繰り返すような場合は、積極的に抜歯を検討したほうがよいでしょう。
また、虫歯や歯周病になっても、治療器具が十分に届かないなどの理由で、しっかりと治療ができない場合があります。そのような場合も、抜歯を検討したほうよいことがあります。
インビザライン治療で親知らずを抜歯するメリット
親知らずがあると歯を後方に移動するのが難しいため、矯正治療の邪魔になることが多くなります。矯正治療中の親知らずの抜歯は、基本的にメリットが多いといえます。
インビザライン治療で親知らずを抜歯するメリットは、次の3つです。
・歯を動かすスペースが増え、歯がきれいに並びやすくなる
・矯正後、歯並びのよい状態を維持しやすくなる
・虫歯になり矯正が中断するリスクを減らせる
インビザライン治療中に、歯をスムーズに動かすだけでなく、治療後の歯並びを維持しやすくなるのもメリットの一つです。抜歯をせずに歯並びを整えたとしても、親知らずが残ったままだと、横の歯を押してしまうため、歯並びが後戻りしやすい傾向になるといえます。
インビザライン治療で親知らずを抜歯するデメリット
歯並びを整えるのに、親知らずは邪魔になることが多く、抜歯するのに大きなデメリットはありません。
ただし「親知らずの抜歯」自体が外科処置のため、多少のリスクが伴います。リスクに対してしっかり納得してから施術を受けるようにしましょう。
親知らずの抜歯におけるリスク
親知らずの抜歯におけるリスクは、以下の5つです。
・術後に腫れや痛みが起こることがある
・顔に内出血が起こることがある
・うまく蓋ができないと、ドライソケットと呼ばれる顎骨が露出し感染を起こした状態になり、痛みが長引くことがある
・下の親知らずの場合、術後に顎が開けづらくなることがある
・下の顎の骨の中を通り太い神経を傷つけてしまうと、術後に麻痺が起こる可能性がある
このように、親知らずの抜歯自体にリスクがあります。
ただし、すべての治療にはリスクが必ずあるものです。事前にしっかりと説明を受けて、納得したうえで治療を受けるようにしましょう。例えば、リスクが高いと歯科医師が判断した場合には、より安全に施術をするため、総合病院などにある口腔外科での抜歯を勧める場合もあります。このような場合は、リスクを減らすためにも口腔外科で抜歯をしたほうがよいでしょう。
インビザライン治療で親知らずの抜歯が必要なケース
これまで説明してきたように、スムーズにきれいな歯並びを作っていくためには、親知らずは抜歯をしたほうがよいと判断されることが多いです。歯並びの凸凹が大きい場合には、親知らずを抜歯したほうがスムーズに矯正治療が進むでしょう。特に次のような場合は、親知らずの存在が歯並びやお口の中全体にとって悪影響を与えている可能性があるため、積極的に抜歯を検討したほうがよいでしょう。
インビザライン治療で親知らずの抜歯が必要なケースは、以下の4つです。
・ほかの歯を圧迫している場合
・噛み合わせに悪影響を与えている場合
・虫歯になっている場合
・痛みや腫れが繰り返し起こる場合
ほかの歯を押したり圧迫していたり、噛み合わせに悪影響を与えている場合は、直接的に親知らずが歯並びに影響を与えていると考えられます。抜歯をしてからインビザライン治療を進めたほうがよいでしょう。
また、虫歯になっている場合や、痛みや腫れを繰り返している場合は、今後も親知らずによるとトラブルが続くことが考えられます。せっかく矯正治療をしても虫歯や歯周病でボロボロになってしまっては意味がなく、親知らず以外の歯の健康にも悪影響を及ぼします。早めに抜歯を検討するのがよいでしょう。
インビザライン治療で親知らずの抜歯が不要なケース
インビザライン治療で親知らずの抜歯が不要なケースは、以下の3つです。
奥歯を後方に動かす必要がない歯並び
親知らずが生えていると、奥歯を後方に動かすことが難しくなります。
奥歯を後方に動かす必要がなく、親知らずが真っ直ぐ生えていてトラブルのもとになっていない場合には、親知らずを抜歯する必要はありません。
IPRで対応できる歯並び
IPRとは、ディスキングといわれる施術方法で、隣り合う歯との接触面を削って、歯と歯の間にすき間を作る処置です。エナメル質のみを削るため、しみたりすることはありません。
歯並びの凸凹の程度がIPRで対応できるのであれば、無理に抜歯をする必要はありません。
親知らずの根っこができていない場合
親知らずの根っこができておらず、埋まったままの状態の方もいるでしょう。このような場合は、抜歯をせずにそのまま治療を進めてしまうことがあります。
今後、悪影響を及ぼす可能性があるかを考慮したうえで、抜歯が必要かどうかを判断します。