奥歯のインプラント治療の特徴

まず奥歯のインプラント治療の特徴について説明します。そもそも奥歯とはどの歯のことを指すのか、治療を受ける際の注意点はなにか、治療後に気を付けることについて説明します。

どこの歯からが奥歯?

奥歯とはどの歯のことを指すのでしょうか。奥歯とは臼歯のことで、人間には小臼歯が上下左右にそれぞれ2本ずつ、大臼歯が3本ずつあります。一番奥の第三大臼歯はいわゆる親知らずで、きちんと生えていない人やそもそも存在しない人も多くいます。
奥歯は噛む力が一番強く、噛み合わせの高さも奥歯によって決められています。一方で奥歯は前歯と比べて寿命が短めです。前歯よりも力がかかることや、歯ブラシが届きにくいことなどが原因と考えられています。

治療を受ける際の注意点

インプラントで奥歯の治療を受ける際の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。まずきちんとしたカウンセリングを受けることです。納得のいくまで説明をしてくれる歯科医師を見つけましょう。御自身に糖尿病や心疾患、骨粗しょう症、貧血などの全身疾患がある場合も、よく相談しておいてください。これらの病気があるとインプラント治療ができないケースもあるからです。喫煙もインプラント治療の妨げになりますから注意が必要です。

治療後に気を付けること

インプラント治療が終わった後もいくつか気を付けなくてはならないことがあります。その中でも一番怖いのがインプラント周囲炎です。これは歯周病のような病気で初期はインプラント周囲の粘膜が腫れたり出血したりします。進行するとインプラントと粘膜の隙間が深くなるほか、粘膜から膿が出るようになり、最終的にはインプラントが脱落してしまいます。インプラント周囲炎は普通の歯周病と比べて進行が早いのが怖いところです。
インプラント周囲炎の原因は歯周病のように歯垢や歯石が主な原因ですが、歯ぎしりなど強い力も原因となります。インプラント周囲炎を防ぐためには毎日の歯磨きをしっかり行うほか、定期的な検診を受けるようにしましょう。歯をしっかりクリーニングしてもらい、インプラントに異常がないかをチェックしてもらうことが大切です。

奥歯のインプラント治療の特徴

インプラント以外で失った奥歯の治療をするには入れ歯治療、ブリッジ治療があります。それぞれがどのような治療法なのか説明します。

入れ歯治療

入れ歯治療は失った奥歯の部分に人工の歯を補います。入れ歯の場合、インプラントのような土台がありませんから、残った歯にバネをかけて人工歯を支えます。材質によっては保険診療が可能です。入れ歯はどの位置の歯でも対応可能なのがメリット。また取り外して磨けるためメンテナンスも簡単です。
しかしバネの締め付けに違和感を覚えることもあります。また入れ歯では本来の歯の15~30%しか噛めませんし、入れ歯が合わないとずれたり外れたりして痛みがあることも。入れ歯では顎の骨に刺激を与えられないため、長期的には顎の骨がやせてきます。このため口の周りがクシャッとした印象になってしまいます。

ブリッジ治療

ブリッジ治療は失った歯の両端の歯を土台にして、人工の歯を橋のようにかける治療法です。一番奥の歯が失われた場合、土台が作れないためブリッジ治療はできません。入れ歯と比べると硬いものを噛んでも安定しますし、自然な噛み心地が得られます。材質によっては保険が適用されるのもメリットです。
デメリットは土台の歯に大きな負担をかけてしまうことです。土台になる歯を大きく削らなくてはならないため細菌に侵されやすくなりますし、土台の歯に力が集中するため痛みやすいのです。またブリッジは構造上すき間が多く、そこが虫歯や歯周病になりやすいデメリットもあります。

歯をインプラント治療するメリット

インプラント治療には入れ歯治療やブリッジ治療にはない多くのメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。インプラント治療のメリットについて説明します。

自然歯のようにしっかりと噛める

天然歯を失ってしまうと、入れ歯の場合は15~30%しか噛めなくなります。噛み心地が自然だといわれるブリッジでも60%程度です。しかしインプラントは元の歯とほぼ同じ感触で噛むことができます。

嚙み合わせのバランスが良くなる

入れ歯は歯の土台がないため、強く噛むと入れ歯が歯茎に当たり痛みが出てしまいます。入れ歯が合っていない場合だと特に違和感が強く出てきます。しかしインプラントは顎の骨と結合した、しっかりとした土台の上に人工歯が乗っていますから、強く噛んでも入れ歯のようにずれたり違和感を覚えたりすることはありません。

嚙み合わせのバランスが良くなる

噛み合わせの高さは奥歯によって決まるなど、奥歯は噛み合わせでも大切な役割を果たしています。そのため奥歯が失われてしまうと、噛む力に偏りが生まれてバランスが崩れてしまい、肩こりや頭痛、顔の輪郭の歪みなどの原因になってしまうことがあるのです。
入れ歯やブリッジで治療した場合、本来の噛む力の15~60%に落ちてしまうことから、偏りが解消できないことがあります。しかしインプラントであれば天然歯と同じような噛み合わせになりますから、噛み合わせのバランスも整えられるのです。

発音しやすくなる

奥歯がなくなるとそこから息が漏れてしまいます。そのため「ら」行や「い」「き」など「い」の段の発音が悪くなってしまうことも。入れ歯やブリッジを入れれば、一応は解決されますが、入れ歯の場合は話をしている最中にずれてしまうこともあります。インプラントであれば、ずれることはありませんから安心して話ができるのです。

顎の骨吸収を抑えられる

歯がなくなってしまうと、歯を支える顎の骨はだんだんやせていってしまいます。歯があるときは歯根を通じて顎に刺激が与えられ、その刺激があるために骨が吸収されないのですが、刺激がなくなると骨はどんどん吸収されてしまうからです。入れ歯やブリッジも歯根がないため顎の骨に刺激が伝わりません。しかしインプラントであれば、人工歯根が顎の骨と結合していますから、刺激を伝えられるのです。

奥歯をインプラント治療するデメリット

インプラント治療のメリットを見ると、いいことばかりのように見えますが、デメリットもいくつかあります。インプラント治療のデメリットについて説明します。

自由診療となり一定の費用が必要

インプラント治療は基本的に保険が効かない自由診療です。そのためどうしてもまとまった金額が必要になります。一方で入れ歯やブリッジは保険が適用される材質を選べば、費用を抑えることができます。

治療が長期化する場合がある

インプラント治療はインプラントを骨に埋め込んだ後、結合するまでの期間などが必要なため、最短でも3か月は必要です。骨を増やさなければならない場合は、半年から1年かかることもあります。入れ歯やブリッジの治療期間と比べると、長くなってしまうのは事実です。

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