インプラントと入れ歯の大きな違い
費用は入れ歯の方が安価に製作できるが…
治療法の選択基準の一つに費用があります。歯科の治療方法は多種多様で、患者さん自身の性格や目的などに合わせて選ぶ必要があります。そこで、歯医者さんは患者さんにとって適切な治療を行うために、治療方法の選択をお願いすることがほとんどです。 費用面だけで考えるなら入れ歯のほうが圧倒的に安く作ることができます。また、入れ歯には保険診療で製作する入れ歯と自費診療で製作する入れ歯の2種類がありますが、保険診療で製作する入れ歯であればさらに安価で作ることが可能です。 ちなみに、自費診療で製作する入れ歯の多くは上顎につける総入れ歯で嘔吐反射や装着不良感をなくすため、また総入れ歯が壊れにくくするために金属で作られています。
咀嚼効率・咀嚼感はインプラントに軍配
実際に入れ歯やインプラント治療を行っても噛むことができなければ意味がありません。入れ歯とインプラントを比較した時に噛む力が十二分に発揮できるのはインプラントのほうです。全て自分の歯が生えている人が噛む力を100%とすると、部分入れ歯では30~40%程度・総入れ歯では10~20%程度と言われています。インプラント治療では顎の骨にインプラントが埋まっているので実際の歯のように噛むことができます。100%に近い力で噛みやすいのは入れ歯よりもインプラントです。
入れ歯の方が早く使える
入れ歯とインプラントでは治療を開始してから終了するまでの期間には大きな差があります。 入れ歯であれば歯型を取ってから歯科技工士さんへ技工指示を出して製作が開始されます。型取りから入れ歯が患者さんの口の中へ入るまでは部分入れ歯も総入れ歯でもそこまで時間差はなく大体1か月~2か月程度でできます。 一方、インプラントはインプラント体と呼ばれるインプラントの元を埋める外科手術が必要です。外科手術をするにあたって患者さんの持病はどういったものがあるのか、インプラントを埋める骨の厚さはどのくらいあるのか、神経や血管は埋める予定の近くに走行していないかなどを慎重にチェックをしなければなりません。インプラントの場合、外科手術をして実際にインプラントで食事をするようになるまでは6か月程度かかります。
食事の違い
インプラント治療と入れ歯治療で食事の内容に制限が出てくるでしょうか。また、味覚などにとトラブルが生じることはあるのでしょうか?
入れ歯のほうが噛む力が弱い
前述した通り、入れ歯では噛む力が落ちることがわかっています。部分入れ歯は金属のバネを歯にかけることで外れないようになっていますが、総入れ歯は粘膜と吸着させることで維持しています。そこへガムのような粘着性のある食べ物が入ると入れ歯にくっついて入れ歯を外してしまうことがあります。入れ歯の人は粘着性のある食べ物には注意が必要。また、硬い食べ物も自分の歯のように噛むことが難しいこともあります。
味覚は歳をとれば変化してくる
料理の味は口の粘膜にある味蕾(みらい)という細胞で受け取ります。味蕾は主に舌に分布していますが上顎の粘膜にも少し分布しています。総入れ歯を装着していると上顎の粘膜を覆うので味蕾へ味成分は付着することを妨げます。総入れ歯にするとインプラントに比べ味を100%感じることができなくなりますね。ただし、加齢とともに味蕾は少なくなっていきます。おじいちゃんやおばあちゃんが濃い味付けを好むのは味蕾が少なくなっていることも原因の一つといわれています。